2009年3月22日日曜日

卒業式:前夜

 不思議な夜だった。
時が止まったような、生あったかい
狐につままれたような、別の世界があった。

長女の大学卒業指揮を明日に控え、
我々夫婦は、袴を着付けてくれる祖母とともに
京都に居た。
たまたま東山を灯篭でうめるという
花灯篭という企画があるというので
半信半疑でタクシーに乗った。

タクシーを降りると、いきなり細い坂道を
照らす灯篭のまっすぐ上に八坂の塔が
ライトアップされていて、まさに絵葉書。

ゆっくりと花灯篭の道を歩いていくと
次々ときれいな景色が現れて、祖母を
喜ばせた。
二年坂を通り、ねねの道を歩いて
ただただ、この夜に酔った。

八坂神社へ着いた時、
長女と4年半前、初めて京都を
訪れ、この神社のこの同じ場所から
母に電話したことを、二人ともはっきり
覚えていて、時の魔法、
少し長い夢を見ていたような、浪漫に
再び酔った。

彼女もあの時は18歳。
もうすぐ23になろうとしている現在
いつの間にか、大人になった。
卒業式の前の晩、
八坂の神様が見せてくれた
あたたかい夢。
京都の神々は、長女を
祝福してくれたようだ。
ありがたい。
一生忘れない京都になった。

2009年3月4日水曜日

嗚呼!卒制

長女が無事卒業の運びとなり、京都の美術館まで、卒制を見に行ってきた。
中でも優秀と認められたものには(選考基準は聞いてないが)、各学科に
5名程《学科賞》という称号が与えられる。親が来る以上、これはゲットして
おかないとやばいと思っていただろうし、いただいた今となっては笑い話
だが、長女の気の使いようは半端ねえ!って感じだったろうし、本当に
いただいてありがたい。おめでとう!
努力のあとがありありの仕上げのきれいな作品だった。
縫製技術を身につけたのがうれしかった。

彼女の友達たちは、われ等夫婦を見て、よく似た夫婦だと言ったとか。
27年ほど一緒にいると、やっぱり似てくるものらしい。

つぎの朝、思いがけない幸運が待っていた。
彼女の買ってきた新聞に、卒制始まる!の記事が載っていたのだが
その紹介写真が、まさに彼女の作品ブースだけをそのまま写したもので
これはちょっとした奇跡だ!
親バカ夫婦が、この新聞を求めてこのあとコンビニをハシゴしに
走ったのは言うまでもない。
京都の、昔の恩人の住んでおられた田中野神町のすぐ近くの
こうした長女への幸運は、どうしても支えられているとしか
思えない。ありがとう先生!ありがとう母ちゃん!
ありがとう!京都のおじさん!